日本では、風邪の鼻水・鼻づまり(鼻閉)の治療薬として抗ヒスタミン薬(ペリアクチン、ポララミンなど)がよく処方されています。
私も約10年前までよく処方していましたが、かえって子どもたちを苦しめているのではないかと考えるようになりました。
現在、当院では(以下の理由により)「風邪の(ウイルス感染による)鼻汁、鼻閉への抗ヒスタミン薬」処方をしておりません。
有効性の面から
- 感冒時の鼻汁、鼻閉に対する海外の臨床試験では、抗ヒスタミン薬の有用性は概ね否定されています。
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抗ヒスタミン薬は急性中耳炎には有効でないため、投与すべきではない(小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版)
- アトピー性皮膚炎のかゆみ止めとして抗ヒスタミン薬が使用されるが、ヒスタミン非依存性の経路で起こるかゆみがあるため、必ずしも抗ヒスタミン薬が有効ではない。
安全性(副作用)の面から
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気道の杯細胞からの粘液分泌を抑制し、痰の排出を困難にさせる。痰の粘稠度を高める。(→気管支喘息発作時には使用すべきでない)
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インペアード・パフォーマンスを低下させる(集中力や判断力、作業能率を低下させる)
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痙攣閾値を低下させる。熱性けいれんが長引く可能性がある(熱性けいれん診療ガイドライン2015)
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抗コリン作用により口渇や排尿障害などをひき起こすことがある
- 眠気、認知機能の低下をひき起こします。
抗ヒスタミン薬(抗ヒスタミン剤)の例
- ペリアクチン、シプロヘプタジン塩酸塩水和物
- テルギンG、クレ・ママレット、タベジール、クレマスチンフマル酸塩
- アレルギン、クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ポララミン、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ザジテン、スプデル、ケトチフェンフマル酸塩
- ゼスラン、ニポラジン、メキタジン
- セルテクト、オキサトーワ、オキサトミド
- レスタミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩
- ザイザル、レボセチリジン塩酸塩
- アレグラ、フェキソフェナジン塩酸塩
- クラリチン、ロラタジン
- アレロック、オロパタジン塩酸塩
- ジルテック、セチリジン塩酸塩
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セレスタミン、エンペラシン ※抗ヒスタミン薬とステロイド薬の合剤
補足
但し、じんましんの治療薬として抗ヒスタミン薬は有用です。鼻閉、痰切れが悪くなるといった副作用がありますが、処方しています。
また、「アレルギー性鼻炎による鼻水」への抗ヒスタミン薬処方は有用であるため否定していません。
(2020.9.3 修正)